クラッカーにはご用心
「隗赫鰍掩!」


「大声出すな、病院やで。」



病室の前にいる珍しく眉間に皺を寄せた鰍掩と楮筬へ、息を切らして駆け込んで来たのは殊犂だ。



「…飴魏蜜穿は?」



「今、治療終えて眠っとる。」


「風邪の放置し過ぎが原因の肺炎やと。栄養失調も軽いけどあったさかい、しばらくは入院せなあかんらしいわ。」



薬も治療もしなかった為、風邪の菌が肺にまで入り込んで二次感染し、悪化してしまった。



「…肺…、炎……、入院………。」



殊犂は楮筬の言葉に動揺が隠せない。



何故あの後、様子を見に行かなかったのか。


ただの風邪だからと大丈夫だろうと、自分の常識を当てはめで考えていた。


だが、蜜穿の過去から考えるとそれは常識ではないのだ。



咳き込んでいたではないか。


いつもの覇気がなかったではないか。



いくら忙しくても、家に帰ることは出来たのだ。



何故、行くことを考えなかった………?



殊犂は抑えきれない後悔が押し寄せ、拳を握り締めなければ耐えられなかった。



「……蜜穿の家にあった食材の袋、お前やろ?それ以外に何もあれへんかったし、少しは役に立っとるやろ。」
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