クラッカーにはご用心
権利を誇示出来、なおかつ魅園へ寄付金を効率よく集められると気付き、栲袴の件が片付いた後も仕事を続けさせてるぐらいだ。


蜜穿が止めると言った事実など無かったように。



「出かける。施設にこれ持っていけ。」



自己完結して叡執は出ていった。



「げほげほ…ごほごほごほ…」



救急車と病院である程度の治療を受けたので熱は下がったものの一向に咳は止まらない。


バイトが出来なかった為に治療代が精一杯で、叡執が払うはずもなく退院するしかなかった。



それでも施設へと向かおうとするのは、必要とされるなら構わないと荒廃した心へのすりこみか。



叡執の意思によって、償うべき許されぬ過去の悪意的な罪に、


現在に下される作為的な罰は、全ては他が為の人為的な未来の為。



消えない罪と受けられない罰の原因は、きっと。



叡執の愛の重さに耐えきれなかっただけ。


蜜穿の愛が軽かっただけ。



鼻持ちならないのは、全て殊犂の真っ直ぐな愛と思い込んで。



ハニービーの証拠も魅園の課題も一時保留する。


逃げ出した徘徊者の蜜穿を捕まえ、叡執が密かに狙うはブラックホールの相乗効果なのだから。
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