クラッカーにはご用心
掴まれた手を振りほどき、

伸ばされた手を拒んだ。


けれど。


行き場を無くした手でも私を引き戻そうと、


もがく姿から

その必死さから、


目を離すことは出来なくて。



「みつばち、来い。」



叡執が呼ぶ。



「飴魏蜜穿……行くな。」



殊犂が止める。



真逆の感情が、バックドラフトのように入り交じる。



「分かった………あんたの言う通りにするわ。」



答えなど最初から分かっていたのかもしれない。


行き着いた解答を殊犂ごと抱き締めようか。



「「っ……!!!!」」



掴まれている手を逆に引き、殊犂にキスをした。



カッカンッ、カラカララ…カラン……―――



「ケースクローズド、やな。」



驚いて緩んだ殊犂の手から離れ、動揺で気が逸れた叡執の手から拳銃を蹴り落とした。



教わったバイト仲間のように、上手くは出来ないが。


ジークンドーというより、回し蹴りだが。



過去に縛られて、失うことを恐れては前に進まず駄目だから。


背負っていた重い荷物は土産として軌跡に置いて行こう。



伏せ目から見据える目への布石としては十分ではないのか?
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