クラッカーにはご用心
「ほら、ことりちゃん。お仕事やで!」


「チッ……。そのぶつかった女、どんな顔だ?服装は?」



「いや~…見たら分かるんやけど……」



本来の仕事だと言わんばかりの涓畤壟にイラつきながらも、犯人らしき女について殊犂は聞くが、張匆の返答は曖昧だ。



「いらっしゃいませ。」


「コーヒー1つ。」


「かしこまりました、お好きな席に」



「あぁーー!かしゅーはん、この女や!」


「え?」



またもや碑鉈の声を遮った張匆は、キャリーバックを持ち来店した女を指差した。



「わしの金返せ!!」


「せや!人のもん取ったらあかんで!そのキャリーバックん中にあるんやろ!」



「ちょ…、いきなり何ですか?」



掴みかかる張匆とたきつける涓畤壟に、女は驚き揉み合いになる。



「きゅー、けんしろー、落ち着き。その女は、スリなんかせーへん。」


「こーぞーはん、この女知っとんのですか?」



女の顔を見た瞬間、楮筬は苦笑し2人を女から引き離す。



「ああ。この女は飴魏蜜穿。廓念会の稼ぎ頭や。」



「廓念会だと………!」



名前に聞き覚えがあるのか、殊犂の表情が険しくなる。
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