ユキヤナギの丘で、もう一度君を好きになる
「あと、それも」

今度はカバンの上に置かれたガーベラの花を指差しハルが言う。

なんだ、そうか。たくさんヒントはあったんだ、何も不思議なことはない。

考えすぎていた自分が恥ずかしくなる。

「卒業式の定番だよね」

そう言って赤いガーベラの花を持ち、それをもらった後輩を思い浮かべる私を、ハルは静かに見つめていた。


「ハルは?高校生?」

たくさんある疑問の中から、今度はちゃんと考えて選んで質問をした。

「ああ、うん。うたと同じ、卒業したとこ」

「そう、同い年か」

同じ高校3年生。同級生の男子と比べると、大人びているように見える。

周りにはいないタイプだからか、今どきの高校生らしさはあまり感じない。

その佇まいや表情、喋り方。

なんでだか分からないけれど、私を落ち着かせる雰囲気を感じる。

そんなハルは、卒業式で泣いたのだろうか……泣けたのだろうか。
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