ユキヤナギの丘で、もう一度君を好きになる
「ここ!私のバイト先」
詩織は不意に白い看板の本屋の前で立ち止まった。
「へえ、本屋でバイトしてるんだ」
そこは狭くもなく広くもない、丁度良い感じの清潔そうな店だった。
中を覗くと、店員らしき男性が黒いエプロンを付けて本を並べているのが見える。
詩織もあんな風に働いているのだろうか、黒い長髪を束ね本を並べる様子を思わず想像してしまう。
「私、本が好きだから」
「そっか」
今度詩織の働きぶりを……いや参考書でも見に来ようかな。そんなことを思っている僕には気にもとめず、詩織はパン屋へと足を向ける。
パン屋が近づいてきたのはすぐに分かった。
お腹を空かせた僕の鼻をくすぐるいい匂い。この香りを嗅ぐと、もう居ても立っても居られなくて無意識に足が早まる。
詩織がここだよ!と足を止めたそこには、周りの少し年季が入った雰囲気の店とは違い、木の壁に囲まれたおしゃれな店構えが浮かび上がっている。
真新しい看板には『e'rable』の文字、確かエラーブルって言ってたかな。
なんだか横文字なだけで美味しそうだと思ってしまう僕は、田舎者だろうか。
詩織がカランと鳴るドアを開けると、より一層強いパンの香りが僕らを包み込む。
詩織は不意に白い看板の本屋の前で立ち止まった。
「へえ、本屋でバイトしてるんだ」
そこは狭くもなく広くもない、丁度良い感じの清潔そうな店だった。
中を覗くと、店員らしき男性が黒いエプロンを付けて本を並べているのが見える。
詩織もあんな風に働いているのだろうか、黒い長髪を束ね本を並べる様子を思わず想像してしまう。
「私、本が好きだから」
「そっか」
今度詩織の働きぶりを……いや参考書でも見に来ようかな。そんなことを思っている僕には気にもとめず、詩織はパン屋へと足を向ける。
パン屋が近づいてきたのはすぐに分かった。
お腹を空かせた僕の鼻をくすぐるいい匂い。この香りを嗅ぐと、もう居ても立っても居られなくて無意識に足が早まる。
詩織がここだよ!と足を止めたそこには、周りの少し年季が入った雰囲気の店とは違い、木の壁に囲まれたおしゃれな店構えが浮かび上がっている。
真新しい看板には『e'rable』の文字、確かエラーブルって言ってたかな。
なんだか横文字なだけで美味しそうだと思ってしまう僕は、田舎者だろうか。
詩織がカランと鳴るドアを開けると、より一層強いパンの香りが僕らを包み込む。