ユキヤナギの丘で、もう一度君を好きになる
それほど広くない店内には沢山のお客さんと形良く丁寧に作られている美味しそうなパンたち。

レジの横の冷蔵庫では、手作りのサンドイッチも数種類並べられている。

僕は散々迷って、看板商品らしいクロワッサンと王道カレーぱん、小ぶりなメロンパン、そしてベーコンの入ったフランスパンを選んだ。

僕のトレイに乗せられたそれらのパンを見ながら詩織は、うん、いいチョイスなんて言っている。

そんな詩織のトレイにもいくつかのパンが乗せられ、小柄な女子の割にはたくさん食べることが伺えた。

次に来る時にはあの卵サンドと、粒あんのドーナツを買おうなんて心の中で決めながらレジへと進む。

「ありがとうございましたー」

店の奥さんらしい愛想のいい接客を受け、僕らは店を出て再び2人並んで歩き始める。

するとすぐに「公園で食べようか」と詩織が提案してきた。僕もそう思っていたので素直にうなづく。

あいにくここのパン屋には店内で食べられるスペースは設けられていなかったが、僕は詩織と2人でゆっくりと食べたかったので好都合だった。
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