ユキヤナギの丘で、もう一度君を好きになる
それから、まだお互い知らなかった進学する大学の話をする流れになった。

もちろん詩織とは違う大学だったが、同じ路線沿いにあることが分かり、うまくいけば通学中に会えるかもしれない。

これで僕のキャンパスライフが、より一層彩り豊かになりそうだと思うとワクワクしてきた。我ながら単純だ。

そんな話をしているうちに、再び公園へと戻って来た。

1人で歩くのと、こうして2人並んで歩くのと。
距離も時間も、全く違うものに感じて。
それが僕にはとても新鮮だった。

下の広場にはテーブルやベンチもあるけれど、僕らは言わずとも真っ直ぐにユキヤナギの咲く丘へと向かう。

2人同時に花の前に腰を下ろすと、小さな白い花はまだ出逢ったばかりの2人を前にサワサワとくすぐられているかのように揺れ動く。

さて、どれから食べよう……?

袋の中身と睨めっこをしている僕の隣では、いただきまーすと迷うことなくクロワッサンにかぶりつく詩織。

気取らないその仕草にまたときめいてしまうが、僕も負けじと同じクロワッサンを手に取りかぶりついた。

サックリとした食感と、鼻から抜けるバターとメイプルの香り……。

「うーん、旨い!」
「でしょう⁈」

思わず出てしまった大きな声に詩織は嬉しそうに微笑む。それを見た僕も、やっぱり嬉しくなる。
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