ユキヤナギの丘で、もう一度君を好きになる
ああ、なんかいいな。
心がホワンと暖かくなるのを感じた。
黙ったままパンを頬張る2人の間にはユキヤナギから吹く風が抜けていき、その風が運んできたのだろう白い花が、詩織の髪の毛についていた。
「花、ついてるよ」
僕は真っ直ぐに伸びた黒髪に触れるのをためらって、指をさすだけにした。
「え?どこ?」
詩織は目をキョロキョロさせながら、僕が指をさした場所を払うがうまく花は取れない。
「あはは、可愛いな」
彼女のその仕草がとても可愛らしく、僕は思わず心の声を漏らしながらその黒髪に触れ小さな花を取り風へと乗せて飛ばす。
「……ありがと」
少し照れた表情の彼女を見て思わず僕も胸が高まってしまう。
初めて彼女に触れた僕の手は、くすぐられたように少し疼く。
もしかしたら詩織も僕を意識してくれているのだろうか、そうだったら嬉しい。
またパンを食べながら揺れるユキヤナギの枝を眺めていると、急に詩織が上着のポケットから何かを取り出した。
「ポケベル?」
バイブが震える音がとまる。
「うん、友達から」
彼女が見せてくれたその黒い小さな箱の画面には『タナカセンパイ イタ Fコ』と浮かび上がる文字が見えた。
「ふうこ、だからFコ」
「ああ、そうか」
いや、そんなことよりも僕は詩織のポケベルの番号が知りたい、絶好のチャンスじゃないか。
心がホワンと暖かくなるのを感じた。
黙ったままパンを頬張る2人の間にはユキヤナギから吹く風が抜けていき、その風が運んできたのだろう白い花が、詩織の髪の毛についていた。
「花、ついてるよ」
僕は真っ直ぐに伸びた黒髪に触れるのをためらって、指をさすだけにした。
「え?どこ?」
詩織は目をキョロキョロさせながら、僕が指をさした場所を払うがうまく花は取れない。
「あはは、可愛いな」
彼女のその仕草がとても可愛らしく、僕は思わず心の声を漏らしながらその黒髪に触れ小さな花を取り風へと乗せて飛ばす。
「……ありがと」
少し照れた表情の彼女を見て思わず僕も胸が高まってしまう。
初めて彼女に触れた僕の手は、くすぐられたように少し疼く。
もしかしたら詩織も僕を意識してくれているのだろうか、そうだったら嬉しい。
またパンを食べながら揺れるユキヤナギの枝を眺めていると、急に詩織が上着のポケットから何かを取り出した。
「ポケベル?」
バイブが震える音がとまる。
「うん、友達から」
彼女が見せてくれたその黒い小さな箱の画面には『タナカセンパイ イタ Fコ』と浮かび上がる文字が見えた。
「ふうこ、だからFコ」
「ああ、そうか」
いや、そんなことよりも僕は詩織のポケベルの番号が知りたい、絶好のチャンスじゃないか。