ユキヤナギの丘で、もう一度君を好きになる

「どこかお勧めの店とか、よく行く店とか、ある？」

振り返ってそう言った詩織が僕に近づく。

「えっと……もう少し先によく行く中華屋があって、チャンポンが美味しいんだ」

ちょっとドキドキしてしまった僕の声は思いの外大きくなってしまった。

「へえ、じゃお昼はそこにしようか？」

「あと、さっき通って来た喫茶店もお勧めだよ」

僕は、考えてきた通りにいくつかのお勧めの店をあげることにした。

「フクロウの看板のとこ？」
「そう、ちょっとレトロな感じがいいんだ」

そこでも昼ごはんは食べられるよ、と僕は提案する。

詩織は少し悩んだが、中華屋で昼ごはんを食べ喫茶店でお茶をすると決めたようだ。「欲張りかな」なんて言いながら。

そして僕たちは中華屋でチャンポンと皿うどんを平らげてから、レトロな喫茶店の椅子に座ってまた色々な話をした。

僕は詩織が中華屋を気に入ってくれたので、ご機嫌だった。

詩織の前にはミルクティー、僕の前にはレモンティー。暖かい湯気と静かな音楽が2人を包む。