ユキヤナギの丘で、もう一度君を好きになる
ーーカサッ

足元の芝生が少し動いた気がして、咄嗟に目を開けて振り向く。

でもそこにはハルの姿はなく。

目を閉じていたからか、ウトウトしてしまっていたようだ。周りはいつの間にか薄暗さを増して、陽はすっかり傾き山の向こうに沈んでいた。

耳からはまだ、優しい音色。


ハル?

スマホを見ると、約束の時間からはもう1時間ほど過ぎている。

どうしたのかな?

遅れるとしても、お互い連絡先を知らないからどうしようもない。

きっと、もうすぐ来る。
きっと、もうすぐ会える。


ハル……。
< 140 / 211 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop