ユキヤナギの丘で、もう一度君を好きになる
自分のどこに、こんな行動力があったのだろう。自転車を漕ぐペダルも驚くほど軽い。

白い花を咲かせるユキヤナギはいつものように当たり前のようにそこにあり、風にそよいでいた。それだけで、私の心は少しばかり落ち着く。

ハルの姿がそこにないことは予想していたが、やはり実際にいないのが分かると胸がギュッとなる。

長丁場になることを覚悟して、その花の前に腰を下ろし小さくため息をつく。


ハル、今どこにいるの?


3月の爽やかな風が、私の心に吹き付ける。





時間が経つのが遅く感じる。もう長い時間ここにいるような気がしていたが、まだ1時間ちょっとしか経っていなかった。

それでも足腰が痛くなった私はイヤホンを外して立ち上がり、軽く背伸びをした。

少しだけ高くなった視界からは公園の広場が見える。

あれ?あの子たち……。

そこには前にハルと一緒に遊んでいた子供たちの姿があった。

もしかしたら、彼らに聞いたらハルのことが分かるかもしれない。

そう思った私はお尻の芝生を払ってから広場への階段を駆け下りた。
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