ユキヤナギの丘で、もう一度君を好きになる
「あっ!うた!」

私が声をかける前に、子供たちは私に気づいて駆け寄って来る。

その元気なパワーに圧倒されてしまう。

やっぱりハルがいないと。

「ハルは?」

子供の1人が私に尋ねてくる。

「今日は一緒じゃないんだ」

私がそう言うと、小さな口が次々に不満を漏らす。どんだけ人気者なんだ、ハルは。

「ね、こないだハルと私とここで会った時から、ハルに会った?」

ハルの真似をして、私は子供たちと視線を合わせるようにしゃがんだ。するとより近く、彼らを感じられる気がした。

「えっ?こないだのデートの時?」

「うん、そう」

彼らは口々にお互いの顔を見て何かを言っていたが、結局あれ以来ハルの姿を見かけた子供はいなかった。

「ハルにフラれたの?うた」

1番体の大きな子が、からかうように私に言う。

素直なのか、捻くれているのか。痛いところを突かれてしまう。

「いや、待ち合わせに来なかったからね。心配だなって」

子供相手に誤魔化したりしたところで意味はない。

「ふーん。やっぱりフラれたんじゃん」

別の子がニヤけた顔をする。大人をからかうな。いや、私はまだ大人じゃないのか?
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