ユキヤナギの丘で、もう一度君を好きになる
誰もいなくなった公園は、さっきまでより広く寂しく感じる。まるで世界中から人びとが消えてしまったかのように。

それでも、子供たちと走り回り笑い合い、久々に汗をかいた。私の体の中の、頭の中のモヤモヤしたネガティブな部分を吐き出させてくれたように清々しい気分。

『フラれたの?』
『ハルは約束を破ったりしない』

素直な彼らの言葉が残る。

少しばかり軽くなった心と体。

私も帰ろう。

ハルからもらったハートのヘアゴムを髪から外して腕につける。

ハルがいない、ポッカリと空いた穴が埋まったわけではないけれど。小さな友達にたくさんの元気をもらったのは確かだった。

夕焼けのオレンジに照らされて光る自転車にまたがり、ほんの少し下り坂になっている道を走る。

この綺麗な夕陽を、きっとハルもどこかで見ている。そう信じてペダルを漕ぎ続ける。

寂しくなんかない。

悲しくなんてない。

私は、大丈夫ーー
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