ユキヤナギの丘で、もう一度君を好きになる
「ただいまー」

思っていたより元気な声が出て安心する。

「あら?早いのね」

……あ、そうか。今日は友達と遊びに行く予定だったから、晩ごはんはいらないって言ったんだっけ。

「あ、うん……」

適当ないい訳すら思いつかない。

「お父さん、もうすぐ帰ってくるみたいだから一緒にご飯にする?」

「あ、うん。そうする」

そっか、お父さんが早く帰って来るから機嫌がいいのか。鼻歌なんか歌いながら夕飯の準備をしている。

「さ、うたも手伝って」

「ああ、うん」

メニューはお父さんの好きな麻婆豆腐のようだ。

こんな年齢になっても20年も一緒にいても、今だにラブラブな両親を見ていると、少し恥ずかしくてなんだか羨ましい。

「ただいまー!あれ?うたも帰っているのか?」

玄関にあった私の靴を見たのだろう、帰ってきたお父さんが少し嬉しそうに声を出す。

「おかえり」

「お!麻婆豆腐!久しぶりだな」

喜ぶお父さんを見て、満更でもない様子のお母さん。

「さ、食べようよ」

私から促す。

家に帰って来ていつもの両親の様子にホッとしたのか、急にお腹がすいてきた。
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