ユキヤナギの丘で、もう一度君を好きになる
ハル?

「あ、ごめんごめん。引き留て。気をつけて帰ってね」

そんな寂しさを振り払うように明るく言うハル。

「うん。じゃ、また明日ね」

そんなハルのことが少し気になったが、私はカ
バンとガーベラの花を持って丘を下り、家路へと急ぐ。

途中で一度だけ振り返ったら、ハルは手を振って笑顔で見送ってくれていた。

私も迷わず笑顔でふり返す。


いつもの公園、いつもの帰り道。

見慣れた夕暮れの景色がいつもと違って見えるのは、なんでだろう。

不思議な少年、ハル。

物静かで寂しげで、すぐに消えてしまいそうな儚さを持つ。

それでいながら、時折見せる子供のような素直さ。

今まで私の周りにはいなかったタイプの彼に興味を持ったのは事実。

思わず明日も会う約束をしてしまったけど、もちろん不安がないわけではない。

それでも、また彼に会いたいと思った自分の気持ちを信じたい。


この出逢いが、ハルが、私を変えていく。


この時の私は当然そんなことも知らずに、ただこの新しい出逢いに少し心を弾ませていただけだった。
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