ユキヤナギの丘で、もう一度君を好きになる
心と身体がバラバラになってしまったようだった。

ハルが、私のことを嫌いになったわけではない。やっぱりハルは私の思っているハルだった。そんな安堵感はあった。

ハルにはもう会えないことも、どこかで分かっていたはずだった。

自転車を押し、いつもの街並みを歩く。いつもの交差点。ハルと行ったコンビニの明かり。

呼吸をするたびに胸が痛い。あの日のハルも、こんな風に胸を痛めていたのだろうか。


ハルーー


ハルーー


それでももう一度、あなたに会いたい。


気づけば家の前まで来ていた。門の中に自転車を停め、玄関のドアを開ける。

靴を脱ぎながらリビングのドアから明かりが漏れているのを見て、少しだけホッとする。

1人じゃない。

テレビの音が聞こえるその暖かい部屋に入り、お母さんの声が遠くに聞こえる。


そして、私はそのまま意識を失った。
< 169 / 211 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop