ユキヤナギの丘で、もう一度君を好きになる
いつものように、ユキヤナギの前に膝を抱えて座る。

思い出すのはハルの笑顔。

白い小さな花こそもうほとんど咲いてはいないが、そこに確かに存在するその木を、私は黙って見つめる。


ハル、お待たせ


ずっと、ここに来たかった。

『僕は、いつでもここにいるよ』

ハルに、会いたかった。

「ハル、会いに来たよ」

そう声に出せば、きみに届くだろうか。

きっと、こんな私をどこかで目を細めて見ているのだろう。そう思うと少しくすぐったい。

芝生の上に無造作に置いたカバンの中から、ハルの手紙を取り出す。

中にしまい込んでいたハートのヘアゴムを腕に巻く。

それはまるでハルの暖かい腕に触れているようだった。

ふぅ、と深く息を吸い、吐き出してから真っ白な封筒から便箋を取り出すと、ハラリと落ちる小さな白い花。

「あっ」

そよ風にでも飛ばされてしまいそうな儚い花は、私の履いている白いスニーカーの上に優しく落ちる。それを丁寧に拾い上げると、キュンとうずく胸。

満開の白い花を、大事そうに愛でていたハルの華奢な指を思い出す。

そして私はその小さなプレゼントを封筒の中にそっとしまう。私とハルが、確かに一緒にいた季節を。
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