ユキヤナギの丘で、もう一度君を好きになる
ゆっくりと便箋を開き、私は白い紙の上の華奢なハルの文字を辿る。

初めて読んだ時には、動揺してしまいその内容しか頭に入ってこなかった。

でも、今は違う。

どんな気持ちで、ハルは私と一緒にいたのだろう。

どんな気持ちで、私との別れを決めたのだろう。

『うたには、笑っていてほしい』

そう言ってくれたハルの想いが、今の私にならきっと分かる。

出会った時から、2人はずっと一緒にいられないと分かっていたハル。

それでも、自然に私に寄り添い笑ってくれた。

じっくりと読み進める文章には、春太の想い、詩織の想い。そしてハルの想いが溢れている。

何も知らずにハルとの出逢いにちょっとばかり浮かれていた私。

この手紙を初めて読んだ時には、ハルの気持ちも知らずに1人浮き足立っていて申し訳ないな、なんて思ったけど。

それは、違った。

ハルはそんな何も知らない私だからこそ、自然と一緒に笑えたんだと思う。

だからこそ、私のために別れを決めてくれたんだと。そう感じる。
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