ユキヤナギの丘で、もう一度君を好きになる
ハルに導かれるように、私は美瑛の緑深い木々の間に建つモダンな建物の前にいる。

『陶芸工房HALU』

10年前一度だけテレビで見たその風景は、時が止まったかのように何も変わっていなかった。

数日後に挙げられる式の前に、私は1人でハルの……いや、春太のお姉さんに会いにきたのだ。

深く、深呼吸を、ひとつ。

自分の結婚を機に、ハルとの出会いに一区切り。そんな気持ちで、私はここにやってきた。

私は詩織さんの生まれ変わり。

そんなおとぎ話のような話しを、信じてもらえるだろうか。

春太のお姉さんは、いったいどんな気持ちで今まで過ごしてきたのだろう。

そんな不安を抱え、私は重たい工房のドアをガチャリ、と開ける。
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