ユキヤナギの丘で、もう一度君を好きになる
「いらっしゃいませ〜」

ここで働き始めてもうすぐ3年になる。アルバイトとしてはもうベテランの域だ。

まだ頭の中はまとまらなかったけれど、体で覚えた仕事は考えなくてもすんなりできた。

テキパキと、レジ打ちや品出しをこなしていく。

最近では、流行りのドーナツだって上手く揚げられるようになった。

「すみません。コンビニ限定のポテトチップスがあるって聞いたんですけど」

「あ、はい。こちらです」

よく聞かれる質問にも、愛想よく答えられるくらいの余裕だってある。

「うたちゃん、お米屋さん来たからちょっとお願いできる?」

このコンビニの店長は、珍しく女性だ。

バリバリのやり手というお高い感じでは決してなく、いつも笑顔を絶やさない穏やかな人だ。

そんな店長だからか、この店のパートやアルバイトは長続きすることが多いのかもしれない。

「はーい」

お米の納品チェックを済ませ、商品を倉庫へとしまう。

「ああ、うたちゃん。ごめんね、重たいのに」

「……私が力持ちなの知ってますよね?」

「あはは、うん、そうね」

こんな風に店長とも気さくに話せることは、従業員にとってもプラスになっているだろう。
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