ユキヤナギの丘で、もう一度君を好きになる
「うたちゃん、ドリンクの補充お願いね」

「あ、はーい」

「上着、忘れずに!」

「はーい」

店長にそう言われ、私は上着を着てドリンクコーナーの中へと入り、売れて減っているドリンクを裏の冷蔵庫から補充していく。

中は文字通り冷蔵庫のような寒さだ。

もう何度となくこの作業はしているのだから、上着を着ないと寒いことくらいは分かっている。

それでも毎回、上着着て!と言ってくれる店長。まるでお母さんのようだ。

店内の明るさやお客さんからも遮断されたこの狭い空間が、私は意外と気に入ってたりする。

寒いけどちょっと落ち着く場所だ。

ハルは今頃何をしているのだろう。

家にいるのかな、もう外に出てるかな。

昨日私の頭を撫でてくれた優しく暖かいハルの手を思い出す。

そういえば、今日はどこへ行くんだろ?何も決めてなかったな。

気づけばこんな風にハルのことばかり考えている。

やっぱり私は、もうハルに恋をしているのだろうか。

『うたには、笑顔でいてほしい』

私にそう言ってくれたハルに。

私にまた会いたいと言ってくれたハルに。
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