ユキヤナギの丘で、もう一度君を好きになる
「卒業しても、また会おうな」

仲間誰かが言った一言が、頭の中に響く。

それを思い出しただけで、目の奥がツンとなってまた涙が出そうになる。

卒業式が終わり、僕は合唱部の同級生達と打ち上げを兼ねた昼ごはんを食べに行った。

仲間とはいつものようにバカ騒ぎをしただけだったけれど、これからは毎日会えるわけではないと思うとやっぱり寂しい。

その後、僕はなんとなくまっすぐ家に帰る気持ちになれなくてここへ来た。


ここは、僕のお気に入りの場所。


僕の住む北森町と隣の南森町との境にある公園。そこの小高い丘の上で、僕は今膝を抱えて芝生の上に座っている。

目の前には、溢れんばかりに咲き誇っているユキヤナギの木。

そういえば、毎年この満開の花を見に来ているような気がするな。

僕は小さい頃からこの場所が好きで、嬉しい時も嫌な気分の時も、胸がざわつくことがあった時にはここを訪れていた。

自宅から程よい距離にあり、あまり人気がないのも気に入っている理由だ。

高校の卒業式だった今日も、家へ帰る前に少し気持ちを落ち着かせようとここに座っている。
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