ユキヤナギの丘で、もう一度君を好きになる
正直、居心地は良くなかった。
僕は人見知りするほうではなかったし、女子が苦手なわけでもない。
それでも突然目の前に現れた名前も知らない女子に何を話したらいいかなんて……そうか、名前だ、名前を聞いたらいいんだ。
「君、名前は?」
風になびく髪を抑えながら彼女は僕の方を見た。
その表情からは、彼女が何を考えているのかまでは読み取れない。
「しおり、本間 詩織」
「詩織か……僕は佐竹 春太。春に太、でしゅんた」
詩織。
華奢な彼女にぴったりな名前だと思った。
「春に生まれたの?」
「うん、そう。5月生まれだよ」
初対面のたわいない、広がらない会話。
また、それきり彼女は黙ってしまった。
お互いユキヤナギを見つめながら、次の会話を探す。そんなあどけない2人を、ユキヤナギは小さく笑うように枝を揺らしていた。
「春太くんは、この近くに住んでるの?」
先に会話を思いついたのは詩織の方だ。
『春太くん』と僕のことを呼ぶ人は周りにいなかったので、新鮮だった。
そして少しくすぐったい。
「うん。僕は北森町だよ」
右の方を指差して僕は答えた。
「そう!私は南」
僕とは反対、左を指差す。
僕は人見知りするほうではなかったし、女子が苦手なわけでもない。
それでも突然目の前に現れた名前も知らない女子に何を話したらいいかなんて……そうか、名前だ、名前を聞いたらいいんだ。
「君、名前は?」
風になびく髪を抑えながら彼女は僕の方を見た。
その表情からは、彼女が何を考えているのかまでは読み取れない。
「しおり、本間 詩織」
「詩織か……僕は佐竹 春太。春に太、でしゅんた」
詩織。
華奢な彼女にぴったりな名前だと思った。
「春に生まれたの?」
「うん、そう。5月生まれだよ」
初対面のたわいない、広がらない会話。
また、それきり彼女は黙ってしまった。
お互いユキヤナギを見つめながら、次の会話を探す。そんなあどけない2人を、ユキヤナギは小さく笑うように枝を揺らしていた。
「春太くんは、この近くに住んでるの?」
先に会話を思いついたのは詩織の方だ。
『春太くん』と僕のことを呼ぶ人は周りにいなかったので、新鮮だった。
そして少しくすぐったい。
「うん。僕は北森町だよ」
右の方を指差して僕は答えた。
「そう!私は南」
僕とは反対、左を指差す。