好きだから、じゃん
抱きしめた腕の中で莉菜子がつぶやく。
「嬉しかった、今日」
「え?」
「いつもあたしばっか咲斗のこと好きみたいで、不安だった。だから今日、咲斗が勘違いしてくれた時、本当に嬉しかったの」
「ごめん、不安にさせて。今日、部活でミスばっかして早退させられた。俺、莉菜子がいないとマジだめだよ・・・」
莉菜子がくすくすと笑う。
「そんなに愛されてたんだ、あたし」
「気付けよ、バカ・・・」
ぎゅっと抱きしめた莉菜子がからかうように笑っていても、溢れ出した思いは収まらない。
「好き、莉菜子。マジで好きっ・・・」
途端、驚いた顔で俺を見上げる莉菜子。
俺はもう一度、今度は優しく伝える。
「好きだよ、莉菜子」
途端、莉菜子はにっこりと笑った。
「あたしも大好きだよ、咲斗」
その唇に長い長いキスをする。
その後で目が合うと、なぜかお互い笑みがこぼれた。
「帰ろっか。部活早く終わったならデート出来る?」
「今日は莉菜子が行きたいってとこどこでも行く」
「ホントにー?」
自然と繋がれる手。
隣で笑ってくれる莉菜子。
莉菜子が笑ってくれるなら俺はいつだって何度だって伝える。
自分の素直な気持ち、莉菜子が大好きだって。
END