好きだから、じゃん



抱きしめた腕の中で莉菜子がつぶやく。


「嬉しかった、今日」


「え?」


「いつもあたしばっか咲斗のこと好きみたいで、不安だった。だから今日、咲斗が勘違いしてくれた時、本当に嬉しかったの」


「ごめん、不安にさせて。今日、部活でミスばっかして早退させられた。俺、莉菜子がいないとマジだめだよ・・・」


莉菜子がくすくすと笑う。


「そんなに愛されてたんだ、あたし」


「気付けよ、バカ・・・」


ぎゅっと抱きしめた莉菜子がからかうように笑っていても、溢れ出した思いは収まらない。


「好き、莉菜子。マジで好きっ・・・」


途端、驚いた顔で俺を見上げる莉菜子。


俺はもう一度、今度は優しく伝える。



「好きだよ、莉菜子」



途端、莉菜子はにっこりと笑った。


「あたしも大好きだよ、咲斗」


その唇に長い長いキスをする。


その後で目が合うと、なぜかお互い笑みがこぼれた。


「帰ろっか。部活早く終わったならデート出来る?」


「今日は莉菜子が行きたいってとこどこでも行く」


「ホントにー?」


自然と繋がれる手。


隣で笑ってくれる莉菜子。


莉菜子が笑ってくれるなら俺はいつだって何度だって伝える。


自分の素直な気持ち、莉菜子が大好きだって。






END




< 16 / 30 >

この作品をシェア

pagetop