好きだから、じゃん



まだお怒りの実音をからかうように見る。


「実音はいらないよな?太るし」


「ホント最低」


「ってかちょっと太った?」


「最低!!もうあっち行って!」


本気で怒らせたらしいから、この辺で撤退しておく。


本当は太ったなんてこれっぽっちも思ってないのに、実音が反応してくれることが嬉しくてついそう言う意地悪をしてしまう。


どんなに真剣に好きだって言ったって相手が俺じゃどうせ信じてくれないっしょ?


自分の席に戻る。


次は待ちに待った体育だ。


俺は体育の授業のために学校に来ている。


そう言い切ってもいいくらい体育が好きだ。


「なぁ、陽太」


その声に振り向くと、後ろの席の咲斗が真面目な顔付きでこっちを見ていた。





< 19 / 30 >

この作品をシェア

pagetop