好きだから、じゃん

「どうした？」


「お前さ、考え直した方がいいよ」


「考え直す？何を？」


不思議に思って聞き返すと、奴は真面目な表情のまま、俺に近付き、声を潜めて言った。


「実音のこと。あんな風にしてたらマジで嫌われるぞ？」


俺が実音を好きだと知っている咲斗はいつも真剣に忠告してくれる。


そしてこいつの言う通り、このまま意地悪を続ければきっと俺は嫌われていく一方だろう。


好きなら優しくしなきゃ思いなんか伝わらないことはわかっている。


だけど、口の上手い俺の言葉はきっと実音に伝わらない。


今までも意地悪し続けてきたんだから、なおさら。


「そういうことばっかしてると絶対後で後悔するぞ」


本当にその通りだとは思うんだけど。