暗闇のアリス second story [完結]
潤は椅子から立ち上がる
私の方を見る
そして、ふわりと抱きしめた
私の鼻腔を優しい香りがくすぐる
「亜李朱、俺がお前に迷斗のことを教えなかった理由はお前をあいつから離さないといけないって思ったからだ。
でも、それは初めだけ。お前を手放したくなかった。」
「……潤。」
「亜李朱、ずっとお前を愛してた。」
過去形で言われたそれはとても悲しかった
「俺はお前を幸せにする資格も度量もない。
あいつなら、お前を幸せにできるかもしれない。」
潤のいうあいつが誰のことなのかはすぐにわかった。
「絶対に幸せになれよ。」
「……。」
私は無言で頷いた。