暗闇のアリス second story [完結]
ふと、VIPルームのドアが空いた
頼んでもないのに、運ばれてきたコーヒー
そのコーヒーの独特な香りとともに、サーッと風が通る
その一瞬、目の前の"彼女"が誰だか知れた
彼女の紅の髪がはらりとフードの中から出てくる
その1本1本が美しい絹のような滑らかな動きをした
僕はその動きに目を奪われる
その色は彼女の象徴だった
闇では知らない人はいない
でも、誰も彼女を見たことは無い
その彼女が目の前にいると思うと、体が硬直したように動かなくなった