手のひらの恋
全てのテストを終えた頃には
もう二人は仲良くなっていた。
「きなり帰ろ!」
きなりの席に楓が迎えにきた。
「あ、うん!」
そう言って立ったきなりに
康史は手を振った。
笑顔で手を振り返した
きなりをみて楓はニヤッとした。
「‥見つけたな?」
「え?」
「蓮見くんっ」
「ああ、何か息合ってねー」
でも別に好きとかじゃないよ、
って言おうとしたら
「いいと思うよ、蓮見くん。
あの顔して意外になつっこいし
人気あるけどねー。」
楓はベラベラ話し出した。
「別に‥そんなんじゃないし」
きなりの言葉が彼女の耳に
届いたのかわからないが
彼女は満面の笑みできなりを見た。