手のひらの恋



無言で並ぶ列に響く泣き声。


顔を見た途端泣き崩れる友達。



いつも一緒にいた子が

「桜井!桜井ーー!!」

そう叫んで泣いていた。



その姿はとても痛々しく
思わずきなりは泣いてしまった。





自分たちの番になって
桜井の顔をのぞくと


眠っているようだった。



冗談だよって
今にも笑い出しそうだった。



車とバイクの正面衝突だったのに
こんな綺麗な顔をしてるなんて

この間までと何も変わっていない
その顔を見た瞬間

涙が止まらなくなった。


息をしていない
もう冷たいなんて思うのが恐くて
見てられなかった。




15歳で一生を終えてしまった彼の
最後の親孝行だったのかもしれない。



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