手のひらの恋
明日はお葬式だけど
学校があるため
ほとんどの人が
今日お別れをしてきた。
いつも一緒にいた友達と
彼を誰よりも慕っていた
後輩は明日のことかで
彼のお母さんと話していた。
三人は仲良かったとはいえ
べったりではなかったので
お葬式は控えることにした。
三人は無言で帰っていった。
「じゃ…またね」
きなりは放心状態のまま
家に向かうとお母さんがいた。
「おかえり。どうだった?」
その言葉にきなりは
すべてを思い出して泣き出した。
「…きれいだったよ…」
なんとか搾り出した声で
そう告げた。