幼なじみとさくらんぼ
あれから何日も経つけど栗原先輩とまだやり取りしてたんだ。珍しい。
「なんか来週の日曜みんなで遊ぼうって。ナナも来る?」
「いや、なんで」
私が行ったらどんな空気になると思ってんの?
冗談じゃなくて本気で言ってるからな。ハチは。
「え、だって田村たちも一緒だよ。仲いい友達みんなでって言ってたし」
それでも向こうは女子なんて望んでないでしょ。
平然と「こんにちはー」なんてその場にいてごらんよ。
もう栗原先輩+その友達から睨まれるに決まってんじゃん。
「ハチは本当そういう所鈍いってゆーか全然分かってないよね」
バレンタインチョコだってほとんど本命だったのにメッセージカードなんて見ずに中身をパクパク食べてた。
「ナナも食べなよ。美味しいよ」とか言ってくるし、ハチは少し女心ってやつを学んだ方がいい。
「栗原先輩はハチとふたりで遊びに行きたいんじゃないの?」
みんなで、なんてただの建前だよ。
ってか話してたら全然課題進んでない!やばいやばい。
「ん?もうふたりで遊んだよ」
「え?」
思わずまたペンが止まってしまった。
「先週の水曜かな。学校帰りにちょっとだけ」
あぁ、用事があるから先に帰っててと言われた日か。あの日は確かマック食べ過ぎた~とか言いながらうちでカレー2杯おかわりしてたっけ。
「ってか栗原先輩と付き合うことになった」
「はい!?」