幼なじみとさくらんぼ




家の行き来なんて日常茶飯事だし、むしろうちのお母さんなんてハチに鍵を渡しちゃうぐらいだからね。

ハチになら気兼ねしないし、ハチのお母さんとも仲よしだけど、だからってくっつけばいい理由にはならない。


「ってかハチには栗原先輩がいるんだって。裕子ってたまにハチが彼女持ちだって忘れた発言するよね」

「忘れてるわけじゃないよ?でも八島くんは栗原先輩のこと本気で好きじゃないと思う」


裕子の言葉に私はポテトチップスを1枚取ったまま止まってしまった。


「え、なんで?」

「私から見ての話だけど。なんとなくそんな気がするんだよね」


裕子はバリバリとポテトチップスを食べているけど、私はまだ停止したまま。私の中で裕子は恋愛上級者だし、それに関しては見習いたいというか教えてほしいことだらけなんだけど……。


「待って待って。え、好きじゃないならなんで付き合うの?」

彼女なのに好きじゃないってことがまず疑問。


「体目的とか?」

「ハチはそんなヤツじゃないよ!!」

思わず大きい声を出してしまった。


「ごめんごめん。あくまで可能性の話。でも八島くんだって男だしそれなりに興味はあるでしょ?経験豊富そうな先輩に言い寄られたら、まぁいいかなぐらいで付き合うことだってあるよ」

そ、そういうものなの?

そういえばハチに先輩のことが好き?って聞いた時、「うーん」って誤魔化されたっけ。

普通に照れ隠しだと思ってたけど。


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