幼なじみとさくらんぼ




ますますモヤモヤしてきた私は晩ごはんを素早く食べてすぐに自分の部屋へと行った。

はぁ……とため息をついてベッドに寝転んだ。


風邪ひいてるならなにかゼリーでも買っていこうと思ったのに。そしたら喧嘩してたことも忘れて普通に話せるかも、なんて期待した私がバカだった。


ちょっとは私も言い過ぎたし、チャンスがあれば謝ろうと思ってたのに、もうハチなんて知らない。

その時ちょうどスマホが鳴って、確認すると健二くんからメールがきていた。


【明日の放課後会わない?】

いつもなら迷う返事も今日はすぐにOKをした。



****


次の日。もちろん私はハチのお弁当は作らず、そのまま学校に来た。……というかハチは今日風邪で休みらしい。

朝ハチのお母さんがわざわざ言いにきた。

なんでも高熱が出て食欲もないんだとか。

私はふーんって感じだけど。もうハチの心配はしないって決めたし。なにせ近づくなって言われましたから。


「それで?今日健二くんとはどこで会うの?」

裕子はコンソメ味のスナック菓子を食べていた。私って本当に裕子にはなんでも話しちゃうな。

裕子以上に信頼できる人はいないよ。マジで。


「えっと、水上森公園(すいじょうもりこうえん)」

「あれ?水上森公園って鈴高の近くだよね?珍しいね。いつも健二くんがこっちに来てくれるのに」


今回は珍しく健二くんが待ち合わせ場所を指定してきた。

あそこはキレイな噴水があることで有名だし、私も一度行きたいって思ってたからちょうどいい。


「でもあそこら辺ってガラの悪い学校も多いし気を付けなよ?声かけられても無視だからね。無視!」

「はは、平気平気」


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