幼なじみとさくらんぼ
そういえばハチとふたり乗りなんて久しぶりかも。
高校は徒歩になっちゃったし、中学は自転車だったけどさすがにふたり乗りして学校へは行かなかったし。
「ハチさぁ、あれだけ電車通学がいいって言ってたのにこの高校でよかったの?」
元々お互いに別の志望校があったけど土壇場になって私はこの学校に変えた。理由はいくつかあるけど私の得意な理数が強いってことが志望の動機。
そしたらハチもこの高校にするとか言い出して、自分の受験そっちのけでハチに勉強教えたっけ。
「んー俺的には通えればどこでもよかったんだけど」
「奇跡だよね。ハチが合格できたの」
「はは、俺もそう思う~!」
ハチは昔からなにも変わらない。
急に物事決めちゃう所とかいつもフワフワしてて危なっかしい所とか。受験の時なんてハチのことが心配で胃が痛くなったよ。本当に。
「俺はナナがいないとダメだから」
ハチは笑いながらそう言った。
それはこっちのセリフだよ。ハチは本当に私がいないとなにも出来ない。朝起きるのも忘れ物も行事ごとも全部。
それなのにハチに彼女ができた。
詳しく聞こうと思ったのに自転車のせいであっという間に学校に到着してしまった。