幼なじみとさくらんぼ




結局そのまま公園で健二くんとは別れて、私はまたバスに乗って帰った。

家が近づく頃には電柱の街灯に明かりが灯って、すっかり辺りは暗くなっていた。

……本当に健二くんに悪いことをしちゃった。

あんなに優しい人なのに。


健二くんに肝心なことはまだ言えてないけど、きっとさっきので呆れられたと思うからもう連絡はこないかもしれない。

私からはできないし、せめて誠心誠意の謝罪をして終わりにしたかったけど……。

そんなことを思いながら亀のようにゆっくり歩いていると、ふっとあることに気づいた。


首もとがやけに暖かいと思ったら私……健二くんのマフラーを巻いたままだったんだ。

……すっかり忘れていた。

はぁ、私本当になにやってるんだろう。

早い内に返してその時ちゃんと伝えよう。


なんだかマフラーを巻いてることも申し訳なくて、私はすぐに取った。こんな時にまでいい匂いがするし、マフラーにも健二くんの匂いが……。


あれ?

そういえばこの匂いって栗原先輩が付けている香水と似てるかも。だから先輩の時も健二くんの時もどこかで嗅いだことのある匂いだって思ったんだ。

偶然かな?

美意識が高い人ってみんな同じ香水を付けてたりするしね。


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