幼なじみとさくらんぼ



「えっと今日から1週間、美化強化週間として1限目は掃除の時間だからな。各自名前の順で場所が決まってるからそこに行くように。サボったヤツはペナルティー」

「えー!」

朝のホームルーム。担任の先生にブーイングするクラスメイトたち。

私はそれさえもあまり聞こえてなかった。それどころかハチのことをどうしようかずっと考えている。


ハチが離れていくなんて想像すらしてなかった。

今回の喧嘩だってすぐに仲直りできると思ってたし、またすぐに今までどおりになれるって信じてた。

16年間ハチと一緒にいて、なにを話そうとか、どうやって、とか考えたことなかったのに今はハチに話し掛けるのが怖い。

接し方が分からないなんて、本当に大問題だよ。


ハチに嘘をついたり、よそよそしくしてしまったけど、なにも考えず全部なんでも話せばよかった。

そんな私に気づいてハチはずっと不機嫌だったし、それが積み重なって愛想をつかされてしまったのかもしれない。


「七海。私たち東側の女子トイレだって。一番やりたくない場所当たっちゃったね……って、顔真っ青だけど大丈夫?」

「うう……裕子」

私はどうしたらいいのか分からなくなって裕子に泣きついた。


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