幼なじみとさくらんぼ
それからあっという間に放課後になった。
結局私はハチにお弁当を渡さなかった。田村くん経由っていうのが引っ掛かったし、そこまでして渡したいわけじゃない。
するとポケットの中のスマホがブーブーッと鳴っていた。この長さはメールだ。
【話したいことがあるから今日も会えませんか?】
それは健二くんから。
いつも絵文字の1個や2個は付いてるのになにもナシ。しかもなぜか文章は敬語。
なんとなく真剣な話っぽい。
昨日あんなことしちゃったし会うのはすごく気まずいけど、私もちゃんと謝りたいし、それにマフラーも返したい。
私はすぐに返信をして帰り支度をはじめた。
「七海。放課後たまには遊びにいかない?甘いものでも食べに行こう!今日は色々話聞くからさ」
裕子が気遣って私を誘ってくれた。
「ありがとう裕子。でも今日は健二くんと会うんだ」
「二日続けて?珍しいね」
「うん。話したいことがあるからって。また待ち合わせは向こうだからもう学校を出ないと。本当にごめんね!今度ゆっくりお茶しにいこう」
「分かった。気をつけてね」
今日の待ち合わせ場所は水上森公園の近くの空き地。
健二くんがそこなら人も来ないしゆっくり話せるからと、地図を添付して送ってきてくれた。