幼なじみとさくらんぼ
「はっきり言ってあげようか?依存してるのは瞬じゃなくて七海ちゃん、アンタの方だよ」
ハチは私がいないとなにもできないって思ってた。
文句を言いながら世話を焼いてることは苦じゃなくて、それが日常だからとハチとの関係に幼馴染み以上の名前を付けようとしなかった。
だけどハチが私から離れて、当たり前だったことができなくなって、ずっとずっと苦しかった。
きっとハチがいないと壊れてしまうのは私のほう。
「だから試したの。その固い幼馴染みの絆がどれほどのものなのか」
「まさか……それでハチと付き合ったの?」
「そう。私に夢中になっていく様が見たかったのにアイツが話すことはいつだってナナ、ナナってうざいぐらい」
もしかして先輩の狙いは最初から私だったのかもしれない。それでハチに近づいて、ひそかに引き裂くタイミングを狙っていた。
「まぁ見た目はタイプだったしカッコいいから自慢にもなるし、私の4番目の彼氏ぐらいにはしてあげようって思ってたのにアイツぜんぜん面白くないし男らしくないんだもん」
ハチのことをアイツと呼ぶ先輩。
いつも仲がよくてあんなにハチにべったりだったのに、あの日々が嘘のよう。
「デートも人任せ、会計も割り勘、レディファーストないし本当に顔だけの男って感じで中身スカスカ。七海ちゃんもよくあんなのと幼馴染みやってられるよね。子供のまま成長してない時点で人として終わってる」
ハチのことをこれでもかってぐらい悪く言う先輩に沸々と怒りがこみ上げてきた。