幼なじみとさくらんぼ



「あーあ、泣かないでよ。幼馴染みなんて所詮そんなものだよ。むしろお互い依存から解放されてよかったじゃん」

先輩があざ笑うように私を見下ろした。

今さら色々と考えても仕方ない。とりあえず今はこの状況をなんとかしなきゃ。


「全部言うから。今日のことも先輩がしてきたことも。全部ハチやみんなに」

「はは。私だってバカじゃないのよ?七海ちゃんが余計なことを言わないようにわざわざこんな人気のないところに呼び出したんだから」


ゾクッと悪寒がした。

建物の入り口から聞こえてくる無数の足音。すごくイヤな予感がして、私を取り囲むように男たちは足を止めた。

あ……って思った。

だってその人たちには見覚えがあったから。このガラの悪い目付きに顔。水上森公園で私のほうを見ていた人たちだった。


「どうしてもヤる前に顔が見たいって言われてさ。でもみんな七海ちゃんが可愛くてラッキーだって騒いでたよ」

健二くんの得意気な顔なんて私には見えてなくて。

逃げなきゃ……でもきつく縛られた両手の紐は勿論ほどけなくて、ムリに抜こうとしてるからか、擦れて手首がヒリヒリする。




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