幼なじみとさくらんぼ




そもそも今までだってハチには好きな人がいた。

保育園の時はうさぎ組のことみちゃん。
小学生の時は泣き虫のみゆきちゃん。
中学生の時はマドンナのえりなちゃん。

どの子も小柄で守ってあげたくなるような感じで、ハチのタイプは分かりやすい。

そう考えると栗原先輩はちょっと違うのかな。
スタイルはいいけど小柄じゃないし守ってあげなくても強そうだし。

そんなことを考えているとお昼になり、大好きな海老フライを口にいれようとした瞬間スマホが鳴った。

ブーブーッと机の上で振動してるスマホ。この長さは電話だ。


「着信ハチ、だってよ?」

私のスマホの画面を見ながら祐子はパクパクと美味しそうなウィンナーを食べていた。


『もしもし、なに?』

海老フライをおあずけされた私は冷たく電話に出た。


『あ。ナナ!今すぐ俺の弁当持って理科室に来て』

『え、なんで?私今食べてるんだけど』

『じゃ食いながら来て!早くね』

『わ、え、ちょ、ちょっとっ!』


プツンと切れてしまった電話。表示されたミーコの待ち受けが今は憎らしい。

もうなんなの。食べながらってムリに決まってんじゃん。それに理科室は3階の一番奥だしさぁ……。

ブツブツと文句が止まらない私に祐子は「いってらっしゃい~」とわざわざお弁当を包み直してくれた。

うぅ、私の海老フライ……。



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