幼なじみとさくらんぼ
「上手くいくといいね」
栗原先輩のことを悪く言う人がいるかもしれないけど、ハチが選んだなら私は応援する。
「うん、ありがとう」
ハチは満腹になって眠くなってきたのか私の肩に寄り掛かってきた。
「もう重い。ってかそろそろ教室に戻らないと」
「あと3分だけ」
昔はハチのことおんぶしてあげたりしてたのに今じゃムリだなぁ。肩幅も骨格も手もいつの間にこんなに大きくなったんだろう。
私だって変わってるはずなのに成長が追い付かない。
「ナナも彼氏できたら教えてね」
「私に彼氏できたらハチのことほったらかしにするよ?」
「それは困る」
彼氏とか彼女とかそんな話なんてしたことなかったのに、高校生になると自然に考えるようになるんだなって思う。
でも私はまだまだ考えられないな。
ハチの世話とかそんなの関係なく、好きな人なんてできたことないから。憧れとか尊敬とかしてた先輩はいたけど恋愛ではなかった。
ハチの好きな人はたくさん見てきたのに、自分のことなんて考えたことなかった。
私にもいつか好きな人とか彼氏とか出来るのかな……?