幼なじみとさくらんぼ
……なんか付き合うって大変そう。
合わないなら別れればいいじゃんと思うけど、
そう簡単にはいかないんだよね。きっと。
「七海も彼氏作るなら絶対怒りっぽい人はダメだよ?」
その忠告……意味あるのかな。むしろ作る以前に恋とかできるのかって話だよ。
「で、でも怒らない人とかいなくない?」
「いるじゃん!一番七海の近くに!」
「?」
「八島くんだよ!」
祐子はいまだに私とハチをくっつけようとしてくる。半分は冗談っぽいけど。
ってかハチには栗原先輩がいるしそれに……。
「ハチめっちゃ短気だよ?」
「え、嘘でしょ……?」
「本当、本当」
普段のハチはあんな感じで短気とは無縁だけど、
実はけっこう怒りっぽい。
すねたり、ふて腐れるだけならまだいいけど本当にマジギレしたハチは笑えないぐらい怖い。いつも犬みたいに癒し系の顔してるから余計に。
初めてハチがキレたのは小学4年生の時かな。
私がお母さんと喧嘩してそのまま家出して夜まで帰らなかったあの日。隣町まで探しにきたハチに『関係ないんだからあっちに行って!』と突き放したらマジギレされた。
あと中学の時、私が女友達と揉めて靴隠されて裸足で帰ったことがバレた時。
次の日学校に行ったら友達が泣きながら靴返してきて、きっとハチがキレたんだって思った。
他にも何回かあるけどハチはキレたら怖いって知ってるから私もなるべくそのスイッチは押さないようにしてる。