幼なじみとさくらんぼ



これを祐子に話したら「やっぱり八島くんは七海が好きだと思うなぁ」と話が戻ってしまった。

「だって八島くんが怒るのって全部七海のためじゃん。愛だね。羨ましい」

最後の言葉は聞き流すとして、確かにハチが自分のために怒ってるところって見たことないな。

ハチは優しいし私は家族みたいなものだからきっと代わりに怒ってくれた部分はあると思うけど。


「あ、可愛い雑貨屋!入ろ~」

お昼ご飯を食べ終わって私たちはまた買い物をはじめた。祐子は雑貨屋に目がないし、私も洋服を買うより雑貨の方に浪費しちゃう。

中に入るとキラキラした香水瓶とかうさぎグッズがいっぱいあって、どれも欲しくなってしまった。

「あ、」

目に止まったのは犬の置物。

ゴロンと横になってて手には丸いガラス玉を抱えている。色は全部で12色で誕生日によって違うらしい。

私は9月生まれだからブルーサファイア。

なぜか2個買おうとしてるのは勿論ハチの分。

小さい頃から2つ買うのが癖になってる気がする。遠足も修学旅行も一緒に行ってるのにお土産はハチの分も買ってた。

私が買ったものは一応ハチの部屋に飾ってあるけどホコリを被ってるやつもある。ハチも高校生だしこんなのはいらないって分かってるんだけど……。

どうしても2つ買ってしまう私はなんなんだろう。


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