幼なじみとさくらんぼ
「じゃぁ明日学校でね!」
祐子とはそのまま駅で別れた。『買い物できてスッキリした~』って喜んでたし私もいい物買えたから満足。
そういえば今日お母さん遅くなるって言ってたな。お父さんも休日出勤らしいし晩ごはんどうしよう……。
ハチが来なければコンビニでもいいんだけど、
最近立て続けに来てるし今日も来るかな?
ハチに一応晩ごはんのことを聞いてみたけど返事はないし、財布の中身を確認して私はスーパーに寄って帰った。
簡単に作れるものでいいやって思ってたのに結局重たい野菜も買ったしお弁当の材料も買っちゃったよ。
……駅に自転車置いておけばよかった、とか思いながら歩いていると通りかかった公園で声がした。
昔はここでよく遊んでたけど最近は中にも入らないな。まぁ、小さな公園で砂場とブランコと鉄棒があるだけなんだけど。
確かここの鉄棒で逆上がりの練習とかしたっけ。
全然出来なくて夕暮れまでハチが教えてくれた。
勉強は得意なのに運動は苦手でその点ハチは運動能力だけは抜群にいい。
だからモテるのかな。足が速い人はモテるって昔から言うし。
「あ……」
重たい荷物を持ちながら私は思わず足を止めた。
それは公園内にハチがいたから。それで隣には栗原先輩もいる。
もしかして今日デートだったのかも。1日連絡来なかったしラインも既読にならないし。
ハチに彼女?とか思ってたけどちゃんと彼氏やってるじゃん。デートどこ行ったかあとで聞いてみようかな。
でも冷やかすとキレられそう。
――その時、ハチに寄って行った栗原先輩がキスをした。
1回目は軽いやつ。2回も先輩からして、3回目はハチからしてた。
ビックリしてガシャンッと手に持っていた荷物を落とした。
なんだか見てはいけないものを見た気がしてドキドキが止まらない。私はそのまま逃げるように家へと帰った。