幼なじみとさくらんぼ



授業が終わってせっかく1組まで行ったのに【自販機まで来て~】とハチからのライン。

あぁ、1組は体育でグラウンドだから教室に誰もいないのか。体育終わりに飲み物飲めないなんて地獄だけどこれじゃ本当に私ハチの召し使いみたいじゃない?

ブツブツ文句を言いながらハチの元へと行くとそこには炭酸を浴びるように飲む田村くん達の姿。


「あ、ナナ~」

待ってました!と目を輝かせるハチ。その横にはなぜか栗原先輩もいた。

なんか気まずいな……と思いつつハチに100円を貸した。


「サンキュー!今日20円しか持ってなくてさぁ」

……20円。それでよく不安にならないよね。
せめてなんかあった時のために千円は持ち歩こうよ、とハチに言ってもどうせ無駄だって分かってる。


「あ、もしかして幼馴染みのナナちゃん?」

ハチの後ろからひょっこり栗原先輩が顔を出した。

間近で見るとすごい小顔でまつ毛も長い。写真とか絶対並んで撮れないな。


「岡崎七海です」

「なみちゃんなんだ?瞬がナナって呼んでるからてっきり……」

「その呼び方はハチだけで……」

「ハチ!?ハチって瞬のこと?なにそれ犬みたいで可愛い~!」


ケタケタと笑う栗原先輩は無邪気でとても悪い噂が流れる人だとは思えない。やっぱり女子の嫉妬とかで妬まれてるだけのような気がする。


< 27 / 152 >

この作品をシェア

pagetop