幼なじみとさくらんぼ



「え……なんで?」

噂をすればってやつ?栗原先輩とデートじゃないの?いやその前になんで平然とうちの中にいるのって疑問は言った方がいいんだろうか。


「おばさんインターホン壊れてたよ?うちのも壊れてるしヤバくない?」

「えー本当?誰かのイタズラかしら?怖いわー」

いや、怖いのはこの会話だよ。

お母さんもハチになにか突っ込もうよ。いつかハチがうちの鍵とか持ってそうで怖い。それをなんとも思わず受け入れちゃいそうな自分がもっと怖いけど。


「今ね、瞬くんの噂してたのよ」

「うん。ふたりとも声大きいから玄関まで聞こえてた」

あははっと和むふたり。

ハチは学校帰りっぽい。カバンを持ったままだし。
そのままうちに来るってことは何か用があるのかな。

もしかしてハチからライン来てた?

スマホは……と、昨日充電し忘れて午前中に再起不能になったんだった。


「あ、瞬くん。そこの上のアルバム取れる?私たちじゃ届かなくて」

「どれ?これ?」

ハチが背伸びをするとアルバムは簡単に取れた。
何年も放置してるからホコリが舞ってるし……。
いやそれはどうでもよくて。

なんか……なんかさ、ハチ怒ってない?

私と1回も目を合わさないのは気のせいですか?


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