幼なじみとさくらんぼ



◇◇◇◇


次の日の学校。私の息はすでに切れていた。

ハチがまた寝坊して急いで起こしてそこから全力ダッシュ。重いと思ったらハチにまだお弁当渡してなかった。

……いいや。お昼に1組に行けば。
どうせ『俺の弁当っ!』って連絡くるはずだし。


「おはよう七海。今日も朝から大変だね」

私の癒しは祐子だけかも。

たまにはのんびり登校したい。でもハチは風邪とか引かないし私が起こさなかったら多分昼過ぎまで寝てる。

そういえばハチと別々に行こうって考えは昔からないな。保育園も小学校も中学校も。

それがいつまで続くのかなんて考えたことないけど、社会人になってもこれが続いてたらどうしよう……って、さすがにないか。


「七海」

そんな下らないことを思っていると祐子がなにかを差し出した。


「誕生日おめでとう!」

透明の箱に入った可愛いクマの人形。その手には小さなプリザーブドフラワー。

私はビックリしすぎて一瞬固まってしまった。


「う、え……私誕生日……だっけ?」

「そうだよ!自分の誕生日忘れてたの?」

忘れてたよ。すっかり。むしろ祐子以外に祝ってもらってないから家族も忘れてる。


「いつもありがとね」

祐子の笑顔とプレゼント。


「うぅ、祐子ぉ……。まじ天使だよ」

「天使ってなに?ってか泣いてる?」

うん、嬉しくて泣けてきた。


朝から疲れてたけど今日も1日頑張れそう。ってかクマめっちゃ可愛い……。どこに飾ろうか。

絶対大切にする。


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