幼なじみとさくらんぼ
「ごめん、約束忘れてた」
ハチの顔が怖すぎる。怒ってるよね?怒ってますよね?
「はぁ……。もういいからとりあえず来て」
「へ?どこに……うわ、ちょっと」
ハチは強引に私の手を引っ張った。連れてこられたのは近所の公園。そう、あの公園。
ハチは木製のベンチに座って隣に座るよう指示した。さっきまで明るかったのに空は徐々に暗くなり始めていた。
「ハチ怒ってる?」
「んー。学校でひたすら探してた時はキレてたけど今は怒ってない」
探してたんだ。別に用事なら昼間教室に来てくれればいいのに。一緒に帰るのだってもう子供じゃないんだし別に……。
「はい」
ハチがなにかを渡してきた。
「なにこれ?」
「開けて」
言われた通り開けると中には可愛いシャーペンが3本。
「今日誕生日だろ?」
私はやっとハチが今日一緒に帰りたがっていた理由が分かった。裕子にも祝ってもらったくせにまた私は自分の誕生日忘れかけてたよ。
「ってかハチ覚えてたんだ……」
「は?当たり前じゃん。つーか今まで俺が忘れたことなくない?ナナは俺の誕生日すぐ忘れるけど」
「12月13日でしょ」
「14日だよ。バカ」
勉強の物覚えはいいのに誕生日とかは抜けている。っていうか前日まで覚えてても日々の忙しさで記憶が飛ぶ。